海外にいると感じる。輝く「ニッポン」。

我国「ニッポン」は、いつの時代も政治が上手くいってないような印象がある。年金の問題・雇用格差の問題・高齢化する世代の問題・行政改革の問題。最近の日本のマスコミの政治トピックとしては、民主党の幹事長と党首のそれぞれの資金の不透明性に関わる問題や沖縄基地の問題など。きっと60年近くも続いた自民政権から政局で新しい政党に政権が移行するときは、新時代が始まるのかと少しだけ新鮮な期待値が高まったのに。。

だがしかしと思うのである。1945年敗戦。戦後史が75年前から始まった我国「ニッポン」は、その後の復興の過程を経て1970年代には、近代化し立派な経済大国と言われるまでになったのである。その過程で立派な官僚体制を築き、国そのものの運営をきちっと守ってきたのではなかろうか。社会保険制度や医療・福祉制度の恩恵に預かれない国民は少数であろうし、雇用・失業保険も多くの人が享受している。企業への保障という点でも中小企業への補助・融資などがさまざまな局面で制度化されている。しかし、国民は満足しないのである。また、マスコミも更なる問題を発掘してフォーカスするのである。こんな国内感情と逆に外国に長く住んでいると自分の生まれた国への帰属意識が高まる傾向があるようだ。海外にいることで「ニッポン」の様々な制度の外におかれる。雇用保障や医療保障といったライフラインや日本では想定できぬリスクから身を守る意識がどこかで働く。すると、日本の様々な制度がキラキラと輝いて見えてくる時がある。

今起きているタイ国の騒動への感想で「民主主義を熱く語る国民の情熱がうらやましい」と言うことを日本から伝えてきた友人がいた。タイでの事象に自身が出来えぬ国政参加への当事者意識を感られる憧れは理解できるが、ことの真相を理解せずして踊らされる群衆心理というものを考えるとき危うさを感じる。日本人が無知にされているのは、教育と戦後の歴史観においてである。この自明なことを正しく理解さえしていれば我国「ニッポン」がどのようなうねりを経験してきたのか正しく認識することができる。

歴史を知ることで現在の出来事の起因と結果を推し量ることも可能となろう。民主化という正当なる理論に隠されたウソが見抜けないのはいつの世も普通の国民なのかもしれない。絶対的な正義を説く指導者の前で多くの人が死に絶えてきたことが歴史の残酷さでもある。


この記事は、2002年~2015年に雑誌掲載されたものに、加筆修正をしたものです。記述内容が当時のものであり、現状と違う部分が含まれています。